漢方専門まごころ漢方薬店

当帰芍薬散の体質が日本人に一番多い???

こんな広告を見て、「えっ!!」となりました。

見えますでしょうか?この文言!

『冷え症といっても、出る症状は人それぞれ。体質別の主な症状によい漢方薬をご紹介しましょう。』とわざわざ、人それぞれと言っているにもかかわらず…

(上のタイトルのすぐ下に書いてあるので、字が小さいので見えないかもしれません)

この広告の中で「日本人女性に多いタイプの当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」と説明し、結局、自分のところで売りたい当帰芍薬散に誘導。

当帰芍薬散だけを商品化するのって、ちょっと意味がよくわかりません。

通販の漢方薬は体質を無視!

さっき、「人それぞれ」とか言ってませんでした?

他の体質の人の分は?

そもそも日本人女性に多い体質って何?

漢方薬はアジアに広がっている医学で、わざわざ日本人女性という、『国民単位の体質』ってあるのでしょうか???

だったら、漢方薬は何百種類もいらないですよね。

これって、日本人の性格は、まず、几帳面なA型タイプで間違いない!という決めつけと同じです。

日本人女性なら、当帰芍薬散でだいだい合うんだったら、例えば、アメリカ人女性だったり、イタリア人女性だったら、それぞれに、これだよっていう漢方薬があるんでしょうか?

ちょっと、聞いてみたくなりました。

そんなものは、ないと思うのですが…

単に有名なだけの当帰芍薬散

日本人女性の体質に当帰芍薬散が合うのではなく、一般の日本人女性の方々によく知られて、単に有名っていうだけですね。

なぜか、病院でよく出されてるみたいですし、女性の漢方薬として「認知度」は高いです。

日本人の好きな「みんなと一緒」の同調意識を悪用している宣伝ですね。

ちなみに、うちでは『日本人だったら誰でも同じ漢方薬』を処方するわけないので、細かな問診票を元に、体質を個別に見て漢方薬を選んでいます。

どんな病気も漢方は全身を調べます

うちの問診票はこんな感じです。

まごころ漢方薬店の体質判断表

こんな風に、長々といろんなことを記入してもらいます。

そうすると、女性だからって、この広告にある4つの漢方薬の中で、一番よく選ぶ漢方薬は、当帰芍薬散になるとは限りません。

むしろ、はっきり言って、当帰芍薬散は、ほとんど処方することがありません。

(これひねくれて言ってるんじゃないですよ)うちの店の割合で言ったら、冷え症の悩みを持つ女性の80人に1人くらいが当店では当帰芍薬散が合う体質です。

もしかしたら、うちに来られてる日本人女性の方々が、たまたま当帰芍薬散の証(体質)の方ではなかったのかもしれませんが。

漢方薬は体質に合わないと副作用が起こる

もし冷え症の改善ために、この商品を飲まれて、特に胃痛、胃もたれなど、胃腸の不調を感じたら…

それは、当帰芍薬散の副作用かもしれませんので、その時は、すぐにやめた方がいいかもしれません。

また、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が合う証(体質)の人が当帰芍薬散を飲むと、中に熱がこもって頭痛を起こしたりするかもしれません。

体質に合っていない漢方薬を飲み続けると違う症状に悩まされることになりかねませんよ。

こわいですね。

また、月経の始まっていない若い女の子には、当帰芍薬散を飲ませてはいけませんので、ご注意を!

子供さんが、お母さんのを間違って飲まないようにしてくださいね。

当帰芍薬散は漢方薬ですので、こういったネット通販や病院の体質診断をしないマニュアルの漢方薬を飲むのであれば、副作用もありますので、単純に身体を温める食べ物を食べるとか、食品サプリメントを選ばれる方が、まだ安心ではないか。と思います。

よくわからないのに、無理して漢方薬を飲む必要はありません。

漢方薬って、お一人お一人の体質を見極めて合わさないといけないのに、今回のように、効きもしなさそうなサプリメントのような宣伝で売られているのが悲しくなってきますね。

真剣に根本治療に取り組みたい方は、ご相談、お待ちしています。

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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 漢方方意辞典:緑書房
◯ 中医処方解説:神戸中医学研究会

ブログの著者 東洋医学カウンセラー 松村陽子

ブログの著者 東洋医学カウンセラー 松村陽子

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