漢方薬の効果と副作用とは?(リターンとリスク)
どんなものにでもリスクとリターンがあるものです。
漢方薬での治療にも同じことが言えると思います。
よく、漢方薬は「優しいお薬で体にいいよ。」とか、「副作用もないよ。」と言われることがあります。
漢方薬を人から『良いもの』と勧められて「飲んだらなんでも良くなるんだ!」という思いが先行してしまい、漢方薬のいいところしか知らないで、漢方治療を始め、いきなり漢方薬のよくない部分に出会ってしまった場合…
本来の漢方薬の素晴らしさを知ることもできないままに漢方薬を敬遠してしまうことがあります。
そもそも漢方薬は、そんな都合の良いものではなく漢方薬にもリスクがあることをしっかりと知っていただき、理解することで、漢方治療に真剣に取り組むことができるのではないでしょうか。
漢方薬のリスク
あえて漢方薬での治療のリスクを上げるとしますと、
❶ 一定期間(1ヶ月など)飲み終わった後でないと自分に合うかどうかわからない。(合うかどうかは、あくまでも仮説に過ぎません。)
❷ 治療を始めてみることによって、自分の体のどこに効果があって、どこに不調が出るのかが初めてわかる。
❸ ちゃんと飲まないと結果を判断できない。(2、3回飲んだだけとか、飲み忘れると病院のお薬のような効果は実感しにくい。)
漢方薬は飲んでみる前から、絶対にその人にとって『いいもの』である保証は残念ながらありません。
また体が不調になっていくような合わない漢方薬を『良いもの』と信じて飲み続けても意味がありません。
病院の漢方薬は漢方治療ではありません
病院では、体質を分析したり、その体質に漢方薬を合わせるという知識や知恵がなく、『マニュアルを見て西洋医学の病名で漢方薬を選んでいる』ので、①の「漢方薬があなたに合っているかどうか?」を処方した当の医師がわかっていないということもあります。
漢方薬の大きな特徴は、西洋医学の薬と違って、飲まれる方の体質に合わせて漢方薬を選んで処方するところです。
どうやって、体質に合わせるのか?
それは、飲まれる方のお一人お一人違っている体質を分析、判断する必要があるのです。
漢方薬を選ぶだけなら誰でもできる
漢方薬は、「どの漢方薬を選ぶのか?」が難かしいのではなく、本当はその方の体質を見極めて、辛い症状が起こっている原因はどこにあって、治すためにどういう風に対応していくのか。を分析、判断することが難しいのです。
体質判断とは、占いのように「○○タイプの体質」と簡単にステレオタイプにみるわけではありません。
病気を治すという目的で漢方薬を選ぶためには、もっと具体的に、もっと細かく、詳しく、占いレベルではない、理論的な次の世界のレベルの判断をしなければなりません。
今の病気になった経緯を事細かく、たどる作業のようなものです。
体質を診るとは治療方針を考えること
『体質判断をする』という言葉の中には、『治療の方針を立てる』ということも含まれています。
漢方薬は症状の一時的な抑制や緩和ではなく、体に変化を与えるものです。
漢方薬からの変化には良いことも悪いことも含まれます。
漢方薬は『良いもの』と一言で表せるものではなく、単に体の中の状況を変えることができる自然の薬であり、その時の自分の体にとって『良い変化』を起こしてくれる漢方薬に、どれだけ早く出会えるかが根本治療の『鍵(かぎ)』となります。
例えば、「月経不順に当帰芍薬散」のようなツムラなどの漢方薬メーカーさんからもらったマニュアルを見て出すだけで治るようなものではないのです。
どなたかから「漢方薬がいいらしいよ」とお聞きした場合は、「漢方薬が良い」とジャンルとしてひとまとめにして考えないでください。
漢方は漢方医などの先生の腕にかかっています。
世界一効果が高い漢方薬でも「どんな風に体質分析や診断しているのか?」「どんな風に治療方針を立てて漢方薬を選んでいるのか?」「生活、ストレス管理の指導はどんな風にアドバイスしているとこなのか?」をしっかりと理解し説明できる先生でないと漢方薬を飲む意味がありません。
『漢方薬が良いらしい』と小耳に挟んだ場合、『どこの先生』で、『どんな考え』で、『具体的にどんな方法なのか』を聞いてから検討するようにしてください。
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