『命の母』ってどうなの?
女性が悩む更年期症状や生理のつらい症状にと、よくコマーシャルで見る命の母ですが、漢方薬を飲むのに、『いくら宣伝でも、そんな勝手な決めつけ売ってもいいのだろうか?』と疑問に思い、中身はどんなものなのかを調べてみました。
『命の母A』のホームページを参照させていただきます。
調べてみて、びっくり!の言葉が目に飛び込んできました。
それは、『漢方医学の視点から考えられた生薬の組み合わせ』という言葉です。
しかも、13種類もの生薬をただ単に集めただけなのに、漢方医学の視点からと書かれています。
なぜ、この部分がびっくりなのでしょうか。
漢方医学の視点って一体?
漢方薬って、病院の薬と違って、そもそも何かの有効成分が症状を止めたりするわけではありません。
漢方薬は生薬のもっている『温める、冷やす、気を巡らせる』などの性質を利用して、治すというよりは、どちらかと言えば調整する働きです。
簡単な例では、冷えている人は温め、余分な熱がこもっている人は、冷やすのが、『漢方の治療の原則』なので、どんな体質の方が飲まれるのかで、選ぶ漢方薬は変わってくるのです。
このホームページの説明では、「女性に必要な13種類の生薬」が入っているとのこと。
女性に必要?
『女性』という体質があるのでしょうか?
きっとその意味は、更年期症状で処方されることが多いとされる3つの処方「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・加味逍遙散(かみしょうようさん)・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」の構成生薬を漢方医学の基本ルールを無視して、勝手にピックアップし『なんとな〜く女性にいいよね』的に集めた生薬が命の母に含まれる13種類な感じです。
つまり、女性に良いという根拠は『なんとな〜く良さそう!』ということですね。
その上、
「漢方薬は体質などの「証」によって用いられますが、命の母Aは「証」を選びません。」:(命の母Aホームページより引用)
なんて、すごいことが書いてあります。
体質を選ばない漢方治療は治療と呼ばない
体質を選ばない治療とは、いったい何を治しているのでしょうか?
あくまでも漢方薬は体質などの「証」によって、選ぶことで治療につながります。
逆に『証』を分析しないのであれば、漢方治療は不可能となります。
漢方薬はあなたの体質や病気の原因が何なのか?であって、女性の体質に合わせるわけではありません!
命の母は、もはや、本来の漢方の理論からみると漢方治療ではなく、ただの生薬風サプリメントです。
さすがに『体質を選ばない』というのは、『これは漢方薬ではありません』と言ってるのと同じになりますね。
「桂枝茯苓丸が合う体質の方」と「当帰芍薬散が合う体質の方」、または「加味逍遙散が合う体質の方」は、何の共通点もないくらい、それぞれ、まったく違う体質になります。
漢方の専門家として、命の母の生薬内容をみてみると、血の巡りに良いとされているものや水の巡りに良いとされているものを漢方の理屈も法則も関係なく、やみくもに集めているだけのようにみえます。
命の母を飲むことで、新たな病気になる可能性もある
実は漢方薬は、体質を分析せずに、ちゃんと選んでいないものを飲み続けると、間違った治し方のために本来なかった病気になってしまう可能性があります。
これを漢方で誤治壊病(ごちえびょう)と言います。
正直、漢方の理論的には、この生薬の内容で治る体質の方はどこにもいらっしゃらないと思います。
こういった漢方理論を無視して『生薬を寄せ集めただけの漢方風サプリメント』というのは、世の中に溢れています。
こういったサプリメントは、どちらかというと飲まない方が体のために良いのではないかと思います。
とにかく漢方薬は、『女性』とか『更年期障害』といったフワーとしたイメージではなく、『あなたの現在の体質やあなた独自の症状の原因』を探し出して、それに見合った漢方薬を選ぶものなんです。
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