「正露丸」を手軽に飲む前に知ってほしいこと
51年ぶりに即効性のある正露丸の新商品が出るそうです。
こちらがそのニュース。
私も子供の頃、家の戸棚には必ず常備されていた「正露丸」ですが、漢方薬を知ってからは、一度も飲んだことがありません。
このニュースをきっかけに、そもそも『正露丸の成分ってなんだろう?』と思い、その中身を調べてみました。
結構、衝撃的です。
私が子供の頃に飲んだことのある大幸薬品社製『正露丸』の主成分です。(大幸薬品さんのホームページより以下抜粋)
ここから引用
9粒(成人の1日最大服用量)中、次の成分を含みます。
❶日局木(もく)クレオソート 400mg (大腸の過剰なぜん動運動の正常化、腸管内の水分量の調整、腸内静菌)
❷日局アセンヤク末 200mg (腸の運動調整)
❸日局オウバク末 300mg (健胃作用、腸内静菌)
❹日局カンゾウ末 150mg (胃粘膜障害防止作用、解毒作用)
❺陳皮末 300mg (健胃作用)
引用ここまで
という内容が表記されています。
❶はフェノール、クレゾール、グアヤコールなどからなる消毒剤系の化学物質の混合物です。
クレゾールがあの独特の正露丸の匂いのもとだったんですね。
病院で昔よく使われていた床などに使う消毒剤です。
文字通り、消毒するだけの化学物質です。
(大腸の過剰なぜん動運動の正常化、腸管内の水分量の調整、腸内静菌)とありますが、言い方を変えれば腸を麻痺させ、すべての菌を殺しているのです。
腸には、良い菌も悪い菌もどちらも存在し、どちらもで絶妙なバランスをとっています。
そのどちらも殺すことによって、下痢を止めるのが正露丸です。
お腹の中のすべての菌が一掃されてなくなり、その後の腸内の治癒は結局、自力で治すしかありません。
もう一つ、気になる点は、クレオソートは、たんぱく質を変質させる物質であり、細胞毒性があります。
高濃度になると神経や血液、腎臓を傷つける可能性があります。
私の母はお腹をこわして下痢になると、父に勧められて正露丸を一回に10粒ほどを飲んでいたという話を聞いたことがあります。
10粒は成人の1日最大服用量を超えています。
それが、もしかしたら母の病気である腎不全の原因の一つではないかとも、疑いたくなります。
❷〜❺はすべて漢方の生薬です。
漢方薬というのは、その方の体質(証)を見て、合うものを飲まなければ、何の効果も得られません。
正露丸のように不特定多数を対象とした誰でも飲める場合には、その方の体質に合わせるという本来の漢方薬の意味を全くなさないので、お薬の成分の中に入っていてもよくなるわけがありません。
それどころか、下痢にしても、漢方医学からみると、いろいろなタイプがありますが、仮に単純に見た時に下痢の原因が人によって「冷え」もしくは、その正反対の「熱」のパターンがありますが、「冷えの下痢」を治す生薬や漢方薬は「熱の下痢」の人には毒薬となります。
ちなみにオウバクは、冷やす効果なので、オウバクに関しては『冷えからの下痢』には使えません。
それに自然の生薬が入っているから良さそうなイメージをもってもらいたいのか分かりませんが、化学合成物の消毒薬と一緒に飲んだら、生薬なんて、なんの効果も得られないんじゃないかと思います。
なぜ、わざわざ生薬を配合しているのか、その意味さえわかりません。イメージだけ?
だからなのか、今回、出る新商品の『クイックC』の成分については、「日局木(もく)クレオソート*90mg」のみとなっています。
ただの「消毒薬」だけを飲むことになります。
やっぱり、『生薬は意味がなかった』ことに気づいたのでしょうか。
「正露丸」は5歳未満は『禁忌』となっています。
子供さんが全く飲めないようなお薬ってどうなんでしょう。と単純に思ってしまいますね。
そんなお薬をすぐに効くからと手軽に飲んでもよいものなのか疑問です。
とてもメジャーなお薬ですので、私の両親のように一度にたくさん飲むという方もいらっしゃるのではないかと思いますが、こういった成分でできているということを知っていただければ、たくさん飲んだり、毎日常用するといったことは自然と避けることができるのではないでしょうか。
日本は西洋医学の発想が根付いているので、このように「悪い菌も良い菌も全部なくしちゃえ」とか、「その場だけ症状がなくなれ!」的なものが多いですが、漢方薬でも、『その時の下痢の体質と漢方薬』が合えば、1,2服でピタッと治ります。
ただし病院がやっているような下痢→五苓散みたいなマニュアルを見て選ぶ方法だと、余計にひどくなることもありますよ。
(ちなみに下痢で五苓散を使うのは、うちの実践では、かなりレアで滅多にないパターンです。医者は何にもわかっていないので、ご注意を!)
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯ オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯ 漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯ 平成薬証論:メディカルユーコン
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅠ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅡ:薬局新聞社刊
◯ 近代漢方薬ハンドブックⅢ:薬局新聞社刊