胃腸などの消化器(脾)が悪くなるとどうなるか?
漢方でいうところの『脾(ひ)』は西洋医学でいう、「胃・大腸・小腸」を全部、合わせたような感じの臓器のことです。
いわゆる「お腹」のことですね。
脾(ひ)が弱くなることを漢方では『脾虚(ひきょ)』と言います。
鍼灸院や漢方薬局に行かれた時に「あなたは脾虚だから…」という言葉を言われたことがある方もいらっしゃるかと思います。
脾の主な仕事は、食べ物から必要な栄養を体の中に取り入れ、それを体内の必要なところに送り出し、要らないものを外に出すことであり、それと同時に血液や汗などが、外に余計に漏れ出ないよう調整をするという体の中心的な働きをしています。
脾虚の方に起こる症状は、ゲップがでたり、胃もたれ、消化不良により、便が下痢気味または、便秘気味になったりと様々です。
胃痛なら、胃が悪いことが誰にでもわかるのですが、脾虚の場合は、直接的な症状でない場合も多いので、自分ではわからないこともあります。
胃腸症状は特にないけど、体力がなかったり、体重が増えないことも脾虚の可能性があります。
漢方的には、エネルギーの元となる食べ物から栄養を取り、体中に運ぶ仕事をしてくれている「脾(ひ)」の調子が崩れると、体全体に影響が及ぶので、いろいろな病気になりやすくなると考えます。
病院では胃腸の問題って、胃腸薬や便秘薬、下痢止めなど割合、あまり深刻に受け止めずに、適当な感じで簡単に薬を処方し、重病に捉えませんが、漢方ではお腹の調子が悪いことが、あらゆる病気の始まりと考えたりするのです。
過去にお腹の調子が悪くなり始めた頃から、皮膚にアトピーのような湿疹が出てきたという方がいらっしゃいました。
その方のお話では「お腹」が原因かもしれないと思ったので、病院の内科に診察に行ったら、内科の先生に皮膚の湿疹を指摘されて「皮膚科」へ回されたのですが、その「皮膚科」では、消化器官の問題かもしれないのでまた、「内科」に行くように言われたそうです。
患者さんにしたら、行ったり来たりで大変ですよね。まるで役所仕事。
その結果、うちにご相談に来られました。
うちで体質判断したら、当然、脾虚がありますが、その脾虚は単にエネルギー不足ではなく、水滞といって水の巡りの滞りと合わさっていた水滞証と脾虚証でした。
不要で毒になった水が皮膚に回り、それが皮膚病として現れていたのですね。
お腹の調子が悪いことが、皮膚病につながっていたのです。
逆に、お腹の調子が良いと、病気にもなりにくいのです。
毎日のエネルギーの元である食べ物が体の中で上手く消化され、栄養を取り込み、体に行き渡り、ちゃんと排出するという流れが崩れていない方は健康を維持しやすいのです。
もちろん、脾が調子良いと風邪もひきにくいですし、もし風邪をひいたとしてもすぐに治ります。
誰にでもわかりやすい『下痢』や『便秘』は『潰瘍性腸炎』などにならない限り、病院へ行くほどの病気ではないのですが、日々、お腹の調子があまり良くない方は、必ず次の病気になる一歩手前です。
漢方では、その病気の一歩手前での治療をしていきますので、大きな病気を防ぐことも可能です。
もし、少し寒い場所にいただけで、お腹がすぐに痛くなるという方や、冷たい飲み物を飲んだり、少し食べ過ぎたりしただけでお腹をこわしてしまうという方は、かなり『脾(ひ)』が弱っているかもしれません。
それは脾虚寒証です。
常に調子が悪いと、大きな病気になった時にも気づきにくくなってしまいますので、まずは毎日のエネルギー源である食べ物と関わる臓である『脾(ひ)』を整えることをおすすめします!
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【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ 図説東洋医学(基礎編):学研
◯ 漢方概論:創元社
◯ 漢方臨床ノート(論考編):創元社
◯ やさしい中医学入門:東洋学術出版社
◯ 中医診断学ノート:東洋学術出版社
◯ まんが漢方入門:医道の日本社