漢方薬が病気を治すしくみとは?「いろいろな巡り」
漢方薬で病気を治せることは、あなたもご存知だと思うのですが、具体的に漢方薬はどうやって、体を治すのでしょうか?
多分、今、漢方薬を飲んでいるあなたも「そういえば、どんな風に治すのか聞いたことないな?」と思うかもしれません。
漢方薬を西洋医学の治療を補助する薬みたいに思っている人もいますが、西洋医学と東洋医学である漢方は、まったくちがうものです。
治療に使うお薬だけでなく、体を治す考え方や薬に対する考え方が全く違うのです。
漢方の病気の治し方の考え方は、ものすごく変わっているので、実は、漢方薬を処方している先生ですら、よくわかってないことも多いのです。
でも、漢方の体の治し方は、漢方薬を飲まれるあなたもよくわかっていないと、効果が半減するかもしれないですよ。
病院と漢方の病気の考え方の違い
西洋医学は、最初は、手術で体のどこかを治したり、菌などを殺して治療していましたので、その考えが根付いていて、「病気には何か1つの原因があって、その原因をやっつければ、病気は治る』と考えます。
ですから、検査をして、病気の原因を探しまわるのです。
ところが、これは、怪我、何かの菌やウィルスが病気を引き起こしていれば、原因が見つかりますが、ほとんどの人が悩んでいる慢性病は、1つの原因で、その病気になっているわけではありません。
体のいろいろな機能や臓器と臓器の連携の歯車が、うまく噛み合わずにリズムを崩して病気になります。
漢方は、体の機能がバランスを崩して病気になると考えます。
体は、いろいろな働きを持った臓器でつくられています。
その臓器が、例えば、胃なら、腸が消化しやすいように、食べ斧をすりつぶし、腸で得たエネルギーは肝臓が良いものと毒などを選別して、血管に運び、エネルギーとして全身の細胞に配ります。
どの臓器の働きが欠けても、うまく回らなくなります。
胃で食べ物をうまくすり潰されなければ、腸では、うまくエネルギーが吸収できなくなったり、消化がうまくできてなかったものが、腸の免疫を刺激して、アレルギー反応をおこしたりします。
特に何かの病気じゃなくても、内臓がお仕事の流れが、おかしくなるだけで、それが続くと、病気になるのです。
漢方では、病気は、1つ原因で起こるとは考えません。
体全部を見渡して、どこの臓器の働きが、弱っていて、どこの臓器と臓器がうまく噛み合っていないのかをみていきます。
つまり『体内の働きが、バランスよく働いているか?』をみていくのですね。
漢方薬の治し方はシンプル
漢方の病気に対する考えた方は、非常にシンプルです。
漢方では、『気』『血』『水』『寒』『熱』をみていきますが、これは何をみていくかというと、こららの要素が、ちゃんと身体中を巡っているかをみていきます。
気は、臓器を動かすエネルギーになります。
悩んでいたりすると、気は身体中をすみずみまで巡らないで、頭に滞り、頭痛や耳鳴りを起こしたりします。
気が、頭にちょっと滞っただけで、何か症状が出てくるのです。
血も同じで、血が頭に上ると、のぼせたり、熱がないのに熱があるように感じたり、頭痛や耳鳴りを起こしたりします。
逆に頭に血が集まりすぎて、足元の血が少なくなって、足は冷えたりします。
水は、細胞活動に必要なものですが、細胞で使った後の水は、汚い体には不用な水となります。
下水みたいなものですね。
下水みたいな水が、身体中を巡っていると、関節痛を起こしたり、汚い水がアレルギー反応を起こして、湿疹を発生させたりしますので、オシッコとして、体の外に出す必要があります。
食事の後の食器などを洗った汚い水を下水に流すのと同じですね。
それが、体内で日々、起きています。
寒、つまり冷えは、巡りが関係しているわけではないですが、気や血、水の巡りが悪かったりすると、血が少なくなって、手足が冷えたり、冷えに抵抗する力が弱くなります。
また、いらない水が、体に溜まっていると濡れた服のように体を冷やします。
以外かもしれないですが、熱も気や血、水と同じように身体中をすみずみまで巡っていなければいけません。
内臓が動くためには熱が必要ですが、熱の巡りが偏りすぎるとオーバーヒートを起こして、働けなくなります。
私たち自身も真夏の40℃の部屋でテキパキ動けないのと同じです。
まず、漢方では第一に『気』『血』『水』『寒』『熱』が、身体中を万遍なく、順調に巡っていくのかをみていくのです。
身体中の巡りと整えるとは?
血の巡り、水の巡りは、よくあるような「サラサラと流れていれば良い」というものではありません。
体のどこかに偏っていないか?が重要です。
「頭ばかりに熱が、集まって頭痛や耳鳴りを起こしていないか?」
「足ばかりに水が集まって、むくみや冷えを起こしていないか?」
などなど、それこそ、人それぞれ、いろいろな巡りの悪さがあります。
どの巡りも、ただ単にシャーと早く巡らせればいいというものではなく、おかしな場所に集まっている血や水を、うまく巡るように誘導するのですね。
その巡りを誘導する役割が漢方薬です。
ただ、サラサラと流れやすいようにするのではなく、巡りが関わっている臓器などをうまく動かしながら、整えていきます。
ある人は、冷えて血と水の巡りが悪くなっていたり、ある人は、気(自律神経系)が巡らずに血や水もそれに引きずられて、巡りが悪くなっていたりします。
人それぞれ、巡りの悪い原因が全く違うので、体質も人それぞれ、変わってくるのですね。
そして、体質が変われば、選ぶ漢方薬も人それぞれ、変わってきます。
漢方薬が病気を治すしくみ、その1は、『人それぞれの巡りのバランスを整える』ことです。
もちろん、漢方薬の治すしくみは、巡りを整えることだけではありません。
また、次の機会に順にお話していきたいと思います。
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