五苓散の漢方的な本当の効果ってなんでしょう?
五苓散はどんな病気で使うのか
ツムラだったら17番の五苓散って、実際はどんな効果のお薬なのでしょうか?
頭痛やただの利水剤と勘違いしている人もいますが、どんな病気の人に使うかというと、
【 急性胃腸炎、胃拡張、嘔吐症、消化不良、腸炎、熱中症、ネフローゼ、心不全、陰嚢水腫、アトピー、蕁麻疹、やけど、結膜炎、偏頭痛、慢性頭痛、メニエル症候群、乗り物酔い、インフルエンザなど 】
五苓散は「吐く」という症状から、ネフローゼまで、使う漢方薬です。
実は、漢方薬は、ここに書いてある病気だったら、治るものという意味ではありません。
五苓散の漢方的な効果は、水の巡りや代謝が悪くなり、体内の水がうまく出せない状態で、気も同時に肩から上に滞っている状態で、この気も下げてくれます。
また、皮膚表面の機能が落ちている状態の皮膚を活発にさせて、滞っていた余分な水を排出します。
ちなみに同じ病気でも、体質が変われば、あなたに合う漢方薬はガラッ!と変わります!
『メニエル症候群』だから、五苓散が合うのではなく、水の巡りの問題がメニエル症候群と関係していれば、五苓散が使いますが、メニエル症候群が、気の滞りの問題だった場合は五苓散は合いません。
まったく違う漢方薬を使います。
上に書いた病気は、かならずしも五苓散が治せる病気というわけではないということです。
漢方では大事なのは、『病名』よりも『体質』を診断することですね。
五苓散の合う人の症状
実は、水の巡りを整える漢方薬は、いろいろとあります。
五苓散だけではないのですね。
水の巡りを整えるものとしては、五苓散は、強いものです。
五苓散は、喉が乾いて、オシッコが出ない人に合うお薬です。
五苓散の水逆といって、水分をとると、吐いてしまうという症状がある場合も五苓散が合います。
五苓散で現れる症状は…
【強いのどの渇き、オシッコの量や回数が少ない、オシッコが出ない、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛、むくみ、下半身が重い、滲出性の湿疹、よだれ、咳、めまい、頭痛、動悸、耳鳴り、自汗、悪寒、体が痛いなど 】
どれかの症状が当てはまるかどうかではありませんし、全部の症状が当てはまらないとダメなわけではなく、『体全体の症状』を調べていった時に、『体上半身に気が滞り、水が出せない状態で、体表面にも水がたまっているかどうか?』という傾向を症状から考えていきますよ。
五苓散の具体的な効果
五苓散は、水の巡りを整えるものですが、とにかく、水を体内に出す力が強いものです。
漢方薬は効果が高ければいいというものではなく、その人の水を出す力とそれなりに合っているかどうかが重要になります。
五苓散は、効果が高いので、体力のない人に使うと、水を出しすぎて、脱水の状態になったりすることもあります。
こうなったら、違う漢方薬を飲んで、五苓散のせいで失った水を補わないと危ない場合もあるので、体質判断をしないで病名だけでホイ!ホイ!処方する先生もいますが、五苓散は、『本当に五苓散を使ってもよいのかどうか?』を考えて使わないといけない漢方薬です。
五苓散は強い性質がありますので、『長期間、ずっと飲み続ける』という飲み方はしません。
長い間、頭痛や嘔吐症などの水の巡りの悪さで悩んでいる場合は、五苓散ではなく、他の水の巡りを良くしてくれる漢方薬を考えます。
急性の強い下痢、急性の頭痛など、ずっと悩んでいた症状というよりは、1日、2日前に急に現れた症状など、急性時に使うことが多いです。
★当店では、しっかり全身の状態をみて、あなただけの体質を判断して、最適な漢方薬をお選びします。
→ご相談ご希望の方はこちらの 『漢方無料相談』 に現在の体の状態を入力し送信してください。
→「お問い合わせ及び、ご来店、電話相談のご予約など」はこちら から送信してください。
【引用先及び参考図書・Webサイト】
◯ツムラ医療用漢方製剤マニュアル
◯オースギ医療用漢方製剤マニュアル
◯漢方方意辞典:緑書房
◯類聚方広義解説:創元社
◯勿誤薬室方函:創元社
◯漢薬の臨床応用:神戸中医学研究会
◯中医処方解説:神戸中医学研究会
◯近代漢方薬ハンドブックⅠ:薬局新聞社刊
◯近代漢方薬ハンドブックⅡ:薬局新聞社刊
◯近代漢方薬ハンドブックⅢ:薬局新聞社刊